新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する検査手段としてPCR検査、抗原検査、抗体検査と3種類の方法をよく聞きますよね。
そこで3種類の検査方法と違いを解説していきます。
目次
完璧な新型コロナ検査方法はない
予備知識として新型コロナウイルス感染症に関して完璧に100%の結果が分かる検査方法はまだありません。
最も精度が高いと言われているPCR検査でも約70%で、抗原検査、抗体検査の確率はさらに下がると言われています。
それでも他に検査方法は無いわけですから、使いながらデータを集め改良を重ねていくのが最良と言う事です。
PCR検査の方法と精度
遺伝子を調べる方法でPCRとはポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)の略語だそうです、もちろん一般の方が覚える必要はないでしょう。
検査対象の人から取り出した検体を特別な液体に漬け、コロナ型のウイルスが存在するか確認し、存在すれば遺伝子の一部を切り取り増幅させ最終的に新型コロナウイルスかどうかを確認します。
限界以上まで簡素化して書いてもこれですから、私達が知っておくべきは時間がかかる作業で簡単ではないと言う事です。
2020年5月現在、他の検査方法に比べると最も精度が高い方法ですがそれでも70%程度となっています。
少ない事は確かですが、それは体制が整っていなかったのが最大の理由であり「感染者数を隠蔽する為」とか「政府の初動立ち遅れをごまかす為」とかの論はあたらないでしょう。
そもそもPCR検査と言う言葉を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で初めて知った方が多いはずです。
日本でPCR検査と言えば他の感染症検査に使われてきた方法で、今回の新型コロナのような大人数の検体を毎日検査すると言う体制はマンパワーを含めて整っていなかったのが実情でした。
その混乱の中からの出発したのですから体制強化は進んでいると評価出来ますし、今後も改善されていくはずです。
緊急事態時(自然災害、人災、戦争、感染症など全て)は人々の感情が高まり、様々な話が出回りますので陰謀論や流言飛語には注意しましょう。
抗原検査の方法と精度
発熱して医者にかかりインフルエンザの検査を受けた事がありますか?
それが抗原検査の方法で、私達でも馴染み深く経験者も多いでしょう。
そうです、検査結果が出るまでにPCRの様に時間はかかりません、検査してもらった病院で数十分で結果が出ます。
残念ながら精度にまだ課題が残っています。
偽陰性の結果が出てしまう可能性がPCR検査より高いと言われています。
但し、現在使用されている検査キットは陽性判断に関しては確定診断として用いられるほど精度が上がりました。
つまり抗原検査で陽性と結果が出れば、PCR検査で陽性と出たのと同じ処置になります。(確定診断をした医師が保健所に通告し入院や宿泊療養などを行う)
偽陽性と偽陰性
偽陽性
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染していないのに、陽性と結果が出てしまうこと。
偽陰性
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染しているのに、陰性と結果が出てしまうこと。
その通りです、既に保険治療としても適用される程、信頼感もあります。
いえ、残念ですがそれは出来ません。
近くで短時間で出来ると言われてしまうと、心配性の方は取り敢えず検査だけでもと思う気持ちは分かりますが、原則無症状の方は抗原検査を受けられません。
インフルエンザで例えるなら、無症状の人が不安だからという理由でわざわざインフルエンザの抗原検査を受けにいかないのと同じ理屈ですね。
診療した医師が疑わしい症状があると判断した時に使う検査キットだと言う事です。
いえいえ、そこは誤解ですね。
抗原検査は陽性判断は確実に出来ますが、偽陰性の可能性は捨てきれません。
では、かおりんさんが抗原検査を実際に受けたと仮定しましょう。
陽性と出れば新型コロナに感染しているのは確定で、どう治療していくかのステップに移行します。
陰性と出た場合は、その検査では陰性と出たけど感染していないと言う絶対的証明までにはならないです(偽陰性の可能性あり)。
陰性と出ても疑わしい症状が続くなら、医師の判断でPCR検査対象者となります。
抗原検査は陽性確定判断には有効ですが、陰性確定判断にはまだ使えないと覚えておけばいいでしょう。
抗体検査の方法と精度
検査方法は抗原検査と同じように検査キットを使うので、簡単に短時間で済み結果も早く出ます。(数滴の血液を採取して行う)
但し抗体検査はPCR検査、抗原検査とは意味と目的が全く異なります。
はい、抗体検査は過去に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した事があるかを調べる検査です。
抗体が出来ていれば今後、抗体が有効な機関は感染しない(もしくは感染しにくい)はずと取り敢えずの安心にはなります。
ご注意!
2020年7月時点では抗体があるから今後絶対感染はしないと保証されていません。(医学的に証明されていない)
又、抗体が有効(感染しない)期間も確認出来ていません。
う~ん、新型コロナ感染症の難しいところで、本人が感染した事にも気付かず無症状で終わる人と、急激に重症化(最悪死亡)してしまう人と症例は多岐に分かれていまして、その違いはまだ判明していません。
無症状の人は病院にも行かない、相談もしないですから過去に感染して抗体が出来ていても気付かないのです。
環境や精度が整った状態なら抗体検査は全員受ける価値がありますし、今後の研究&予防&治療にも活きるはずです。
当初はかなり低く3月には回収された検査キットもある程です。
2020年7月現在、精度は上がったと言われていますが、まだデータ量が少な過ぎて確定的な事は言えない状況です。
今後、抗体検査は一気に拡充していくでしょうから近い内に、正確性の検証などしっかり行われるでしょう。
PCR検査 抗原検査 抗体検査の違いまとめ
PCR検査と抗原検査は、新型コロナ感染症に感染しているかの有無を検査判断するのに使われます。
PCR検査の方が施設、マンパワーが必要で時間がかかります。抗原検査は検査キットがあるので町のお医者さんで短時間で結果が出ます。
どちらの方法も陽性判定が出た場合は信頼度が高く、新型コロナの確定判断として原則用います。
陰性判定に関してはPCR検査の方が高く抗原検査の方が劣ります(偽陰性の可能性)。
時間や手間はかかるが正確性ならPCR、町医者でも可能で短時間で陽性確定判断を出来るのが抗原検査と覚えておけばいいでしょう。(一長一短がある)
抗体検査は体内に抗体が出来ているか(過去に新型コロナに感染した事があるか)を調べる検査です。
体内に抗体がある間は同じ感染症にはかからないと言われているので、環境が整い精度が証明されれば、より多くの人が抗体検査は受ける価値があります。
但し、新型コロナウイルス感染症の抗体がどの程度の期間有効なのかは全く分かっていません。
感染歴がある(抗体ある)から、一生安心とは言えないです。
今後、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の研究解明が進み感染症の対策が確立するまでは、出来る事をやっていくしかありません。
検査方法、治療方法、予防方法、全て然りです。
人類が本格的にウイルス(新型コロナ含む)に立ち向かえるようになったのは電子顕微鏡が発明されてからと言えるので、まだたった80年ほどです。
この短期間の内に奇跡的なスピードでウイルスの研究や感染症対策は進んでいます。
ただウイルスは地球上から全て撲滅出来るものではありません。
仮に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンや治療薬が開発されても、それでウイルス自体が無くなるわけではありません。
専門家の方達がよく口にする「ウイルスとの共存」とはそういう意味です。
まだ新型コロナとの闘いは始まったばかりで、推定情報に一喜一憂せず、流言飛語に惑わされず、最大限出来る自己防衛を行う、これだけが結果的に自分も周りの人も最前線で働いている人達も全てを守る最善の方法です。